循環器疾患の症状 平成12年11月12日   

      胸の痛み
 

 胸の痛みを訴えて来院する方は非常に多いのですが必ずしも心臓が原因とは限りません。大きく分けると下のように分類されます。

a)心臓から起こる胸痛
 運動時に胸が締め付けられるようになり安静にすると2〜3分で消失する痛みは狭心症が疑われます。同様の痛みが強く冷や汗をかくような痛みで30分以上続く場合は心筋梗塞が疑われますが鋭い痛みの場合心膜炎の可能性もあります。

b)心臓以外の胸にある臓器から起こる胸痛
 痛みが強く、顔面蒼白、高血圧、痛みが胸から背中、腹部と移動する場合は解離性大動脈瘤が考えられます。手術後や下肢の静脈瘤がある人の場合は肺塞栓が疑われます。息を大きく吸うと痛む場合は胸膜炎、細身の若者では自然気胸を疑います。

c)胸壁からおこる胸痛
  胸の中の痛みのように感じても実際は胸壁の神経・筋肉・骨の痛みであることもあります。肋間神経の神経炎を起こすと肋骨に沿った刺痛、灼熱痛を生じ咳、深呼吸により増強することがあります。有名なのは帯状疱疹で肋骨に沿った焼けるような痛みと小さな水疱がでます。

d)腹部臓器からの放散痛
  胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石、膵炎の痛みが胸に放散する場合 もあり、食事との関係、血液検査所見が参考になります。

狭心症心症 
 心臓は全身に血液を送り出すポンプです。このポンプを構成する心筋細胞が酸素不足になると痛みを生じす。たとえば正座をすると圧迫により足先に流れる血液量が減少して足がしびれてきますが、心臓を養う血管(冠動脈)が細くなると運動時のように大量の酸素が必要な時には相対的に酸素不足が起こります。運動をやめて酸素の必要量が低下すると酸素不足が解消して胸痛が治まります。
 冠動脈が細くなる原因として多いのは動脈硬化ですが血管が痙攣して細くなる場合もあります。動脈効果の危険因子については別に項で述べます。この場合は運動時ではなく夜間から明け方に発作が生じることがしばしばあります。
   
心筋梗塞
 心臓の筋肉への血流が完全に止まる(冠動脈閉塞)と酸素がなくなるだけでなく老廃物の排出も止まり数分で収縮・弛緩は停止します。3から6時間の心筋虚血で心筋は完全に死んでしまいます。心臓の筋肉を養う主要な血管は3本(左前下行枝、回旋枝、右冠動脈)ありますから1本の血管が詰まっても残りの2本が機能すればポンプは働きます。しかし、不整脈、心不全、ショック、心破裂という危険な合併症のために命を落とすことも多い為、できるだけ早くCCUという24時間モニター監視下で治療にあたる施設に入る必要があります。現在主要な病院では発症早期に再潅流療法を行います。これは冠動脈閉塞の原因である血栓を溶かす薬を冠動脈内に直接注入する冠動脈内血栓溶解療法と閉塞部位を風船で拡張する経皮経管冠動脈形成術よりなります。ごく一部ですが緊急に手術でバイパスをつなげることも行われています。

心膜炎
 心臓の表面は2枚の膜で覆われていてこれを心膜といいますが、これが何らかの原因で炎症を起こした場合を心膜炎といいます。ウイルス感染が原因のことが多く呼吸や咳で痛みが増強することがあります。炎症の為に多量の水が貯留すると心臓全体が周囲から圧迫され心室の拡張が制限されポンプの機能が低下し血圧低下などを起こします。これを心タンポナーデといい緊急の処置が必要となります。

解離性大動脈瘤
 大動脈の血管が解離する病気です。血管の壁が裂けそこから血液が流入する為にさらに裂けていきます。激痛が前胸部から背部、腰部へと移動することがあります。治療はまず緊急に血圧を下げ、解離のタイプより手術も考慮します。

肺塞栓
 肺の動脈が何らかの物質で詰まった状態です。血液の固まりが詰まったり、手術後や骨折の際に脂肪塊が流れて詰まることがあります。胸痛、呼吸困難、血痰、失神などの症状を生じます。下肢の血栓性静脈炎、長期の臥床、悪性腫瘍、血液疾患、高度の肥満者などで胸部の症状があれば念頭に置かなければいけません。
     

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循環器科であつかう病気には下記のようなものがあります。
    高血圧、低血圧、心不全、不整脈、狭心症、心筋梗塞、弁膜症、心筋疾患、心膜疾患、心臓腫瘍、肺性心疾患、先天性心疾患、大動脈疾患、末梢動脈疾患、心臓神経症
 
  一番多いのはなんと言っても高血圧です。
     

    高血圧に影響をあたえる環境因子について

          
        1)食塩、カリウム
  食塩摂取量と高血圧の間に関係があることはご存じの方も多いと思います。しかし、  一日6gという日本人にとっては高度の食塩制限を行っても血圧は上(収縮期血圧)が8mmHg、下(拡張期血圧)が5mmHg程度しか下がらずなかなか実行は難しいというのが現実です。一般的な食事指導では味噌、醤油、漬け物などの制限を指導しますが当院では   日本古来よりの食物を重視する考えから制限は致しません。カリウムに関してはK摂取   の少ない地域で脳卒中の発症が多いという疫学的調査結果があり、K摂取によりわずかながら血圧が下がるということも観察されている。青森県が秋田県より脳卒中の死亡率が低いのは りんごの影響ではないかと言われている。食塩にはもともとの海の成分であるカリウムや  マグネシウムといったミネラルがないことが問題で私は天然の塩を勧めています。
 
  2)脂質
  魚の脂は現在高脂血症(コレステロールや中性脂肪が高い状態)や抗血栓薬として使用されているが血圧に関してはわずかな効果のみ のようです。東洋医学では動物性食品の摂取が過剰で顔が赤い人は 熱実証タイプ(代表的には田中角栄もと総理で)で高血圧から脳卒中
の高危険群です。特に肉の脂は控えめにしたほうが無難です。
 
   3)食物繊維
  食物繊維の摂取が少ないと高血圧発症のリスクが高く、食物繊維の投与によりわずかに血圧が下がるようです。最近はダイエットが盛んでご飯を控えようとするひとが多いですが、 ご飯には繊維様の効果もあり 是非食べて頂きたい。当院ではご飯中心で高い確率で    ダイエットに成功しています。

4)運動
   早歩きを30分間から45分、週3回以上行えば血圧は低下します。
  血圧低下の機序として
   1.運動により末梢の血管が開き血管抵抗が低下する
   2.交感神経系の活性が低下する。
   3.ドーパミン、プロスタグランヂン、タウリンなどの降圧物質が増加
   4.循環血液量の減少
   が関係しているようです。
   
        5)飲酒
  一日一合程度の飲酒はストレスを軽くする作用があります、
  狭心症や心筋梗塞の発生を予防するともいわれております。
  しかし、2合以上の飲酒は血圧上昇を招き、心臓肥大を起こします。
  男性はアルコール(エタノール)換算で20〜30g/日
  (日本酒換算一合前後)
  女性は10〜20g/日以下以下にされたほうがよいです。
 
         6)喫煙
   タバコを吸うと一過性に血圧が上がります。
   禁煙すると血圧は低下します。
   喫煙はそれ自体脳卒中や狭心症、心筋梗塞の強力な危険因子であり
   禁煙すべきです。
   
         7)ストレス
   ストレスは血圧を上げます。
  安静時を0とすると
  机仕事は収縮期血圧(上の血圧)を+5.9
  会話 は             +6.7
  通勤 は            +14.0
  職場で仕事           +16.0
  会議で発表           +20.2
  性交              +40.0
  最大強度の運動         +51.0