受動喫煙の有無による幼児の血中鉛濃度の差を示したもので、左半分のグラフが私たちのデータです(NHK教育TV「サイエンスアイ」でとり上げられたデータです)。
喫煙者本人の体内には有害な環境汚染金属である鉛やカドミウムが蓄積することが知られていましたが(タバコの葉に含まれているため)、家庭で親のタバコの煙を子供が吸わされる場合について私達が7年ほど前に調査した結果、子供の体内にも鉛が蓄積していることが判明しました。この問題に関しては、その後米国で大規模な調査が行われ、小児の血中鉛濃度と受動喫煙の関連について、私達と同様のデータが出ており、受動喫煙による小児の体内鉛汚染が証明されています(右半分のグラフ)。
鉛は脳に蓄積しやすいため、血中鉛濃度が高いほど知能指数が下がり、体の発育も悪くな
ることがわかっています。
(加治正行ほか. わが国の小児の血中鉛濃度 -受動喫煙の影響- 日本小児科学会雑誌 1997;101:1583-1587)
(Ballew et al. Blood lead concentration and children's anthropometricdimensions in the Third National Health and Nutrition Examination Survey,1988-1994. J Pediatr 1999;134:623-630)